前回、「言語化できるチームが勝つ!~サッカー日本代表に学ぶ『自走する組織』の作り方~」
という記事を書いたところ、多くのリーダーの方々から反響をいただきました。
「確かに、感覚だけで動いているチームは脆い」
「言語化の大切さはわかった。
では、具体的にどうすればその言語化能力を高められるのか?」
今回は、そんな皆様の疑問にお答えする「続編」です。
組織の言語化能力を高め、劇的な成長を生み出すための具体的なステップをお伝えします。
1日たった10分。言語化能力を高める「最強の仕組み」
「何をすれば、メンバーの言語化能力が高まるのか?」
結論から言えば、
「誰かと対話をしながら、一緒に考える仕組みをつくること」です。
人は、誰かに向かって話をする時、無意識のうちに頭の中の散らかった情報を整理し、
筋道を立てて伝えようとします。
その思考を引き出すのが、リーダーからの「問い」です。
ある会社に、新人営業マンのXさんと、彼を指導する上司のZさんがいました。
ZさんはXさんを早く一人前にするため、
「毎日、終業後に営業日報を書かせる」というごく普通のルールを設けました。
しかし、ここからが違います。
Zさんはただ「日報を書いてこい」と指示するのではなく、
「一緒に日報を書く」という手法をとったのです。
時間にして、わずか10分程度。
ZさんはXさんに対して、壁打ちの「壁」に徹しました。
「今日は、どんなお客様を訪問したの?」
「そこで、具体的にどんな話をした?」
「その提案に対するお客様の反応はどうだった?」
「結果はどうなったかな?」
Zさんの問いかけに対し、Xさんはその日の出来事や自分の考えを言葉にして答えていきます。
そしてXさんは、自分が発した言葉をそのまま日報に書き留めていくのです。
ただそれだけの、非常にシンプルな仕組みです。
しかし、自分の手を止めて
「部下の思考を言語化させるための10分間」を投資し続けた結果、どうなったか。
Xさんの営業成績はみるみる上がり、
今では若手を引っ張るリーダー的エースにまで成長しました。
「忙しいから」と言い訳をせず、あえて自分の時間を少しだけ止めて、部下との対話に変換する。
これを毎日繰り返すだけで、1年後には驚くほど「自律して動ける部下」が育っているのです。
なぜ「言語化」で組織が強くなるのか?
2つの理由
では、なぜ言語化能力が高まると、これほどまでに目に見える成果が出るのでしょうか?理由は大きく2つあります。
1. 抽象的な指示が「明確な基準」に変わるから
私たち日本人は、ハイコンテクストな文化の中で生きているため、
「しっかり」「ちゃんと」「もっと」といった抽象的な副詞を多用しがちです。
例えば、上司が「営業部のA君には、今年度はもう少し頑張ってほしい!」と伝えたとします。
これではA君はどう動いていいか分かりません。
これを言語化(この場合は「数値化」)します。
「A君、昨年の実績が1億円だったから、今年度は10%アップの1億1,000万円を目指そう」
数字は嘘をつきません。明確な基準(先生)となり、目指すべきゴールが誰の目にも明らかになります。
2. 個人のスキルが「組織の再現性」に変わるから
「A課長の営業スキルはすごいから、君も背中を見て学んで!」
こんな指導をしていませんか?
言われた側は「どこをどう見ればいいの?」と途方に暮れるだけです。
これを、言語化によって「再現可能なスキル」に落とし込みます。
「A課長のクロージングはここがすごいんだ。
例えば、 『もしこのまま現状の部品をお使いになると、半年以内に再び液漏れトラブルが発生する確率が高いです。
その際のライン停止による損失額を考えると、今対策を打つことが最善です』
と【デメリット提示】をして受注した。
別の顧客には、
『来月初旬に全数納品するか、まずは月末に一部ラインだけサンプル納品するか、
どちらが現場のご負担が少ないですか?』と【二者択一】でアプローチして全ラインを受注した。
この2つのテクニックを言語化して、ロープレで身につけよう!」
感覚や「カン」に頼るのではなく、なぜ成功したのかを言語化することで、
A課長のスキルは「A課長だけのもの」から「チーム全員が使える武器(再現性)」へと変わるのです。
「最高のコーチは教えない」吉井監督の言葉が示す真理
プロ野球・楽天イーグルスで新監督を務める吉井理人氏の著書『最高のコーチは教えない。』の中に、
非常に興味深い一節があります。
「自分のパフォーマンスをうまく言語化できる選手は、調子の波が小さい」
「言語化ができない選手は、自分のイメージと、実際に動いている姿がずれていることが多い」
これはスポーツに限らず、ビジネスの世界でも全く同じです。
言語化するということは、曖昧さを一切許さないということです。
自分が何を考えているのか、頭の中を整理して明確にしなければ、言葉として外に出すことはできません。
頭の中が整理され、言語化できるようになって初めて、正確な「フィードバック」が可能になります。
フィードバックとは、「自分が目指したい結果(理想)」と「現状」とのギャップを認識することです。
ギャップが明確になれば、それが「課題」となります。
課題が言語化されて共有されていれば、
上司も「解決方法を一緒に考えよう」「こうしてみたら?」と的確なアドバイスやサポートができます。
本人が何に困っているのかが言葉になっていなければ、いくら助けたくても手の差し伸べようがありません。
さらに、言語化できなければ記録にも記憶にも残らず、
毎回「場当たり的な対応」を繰り返し、
次回もまた振り出しに戻ってしまいます。
これでは組織としての成長は望めません。
「言語化能力を身につけなければ、個人の成長も、組織の成長もない」
これは断言できます。
あなたの会社では、メンバーが自分の思考を言葉にし、上司がそれを壁打ちして引き出す仕組みがありますか?
「阿吽の呼吸」や「見て盗め」といった昭和のマネジメントから脱却し、
言葉を武器にする「自走する組織」を創り上げたい経営者・リーダーの皆様。
まずは1日10分の「問いかけ」から始めてみませんか?
組織のコミュニケーションを変え、確実な成長軌道を描くためのサポートが必要な際は、ぜひ私たちプロにご相談ください。