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北山敬三のブログ
1mのパットが打てない絶望。過去の成功体験を捨てる恐怖と「自分の間違い」を認める強さ
ゴルフと経営はよく似ている、と古くから言われています。
今日は、研修講師として日々経営者の方々と向き合っている私が、
自分自身のプライドをズタボロに砕かれ、
そこから学んだ「痛烈な経営訓」をお話しさせてください。
私の現在のハンディキャップは「1」。
過去にはクラブチャンピオンを6回獲得し、
数々のアマチュアの試合にも出場を重ね、
今は「日本シニアアマチュア選手権」への出場を本気で目指しています。
その夢が達成できたら、いつ死んでもいいと思えるほど、
ゴルフという勝負の世界に人生を懸けています。
しかし、そんな私を、かつて経験したことのない深い暗闇が襲いました。
「パターイップス」という名の病
ここ数年、短いパットをよく外すようになりました。
最初は「集中力が足りないだけだ」と自分に言い聞かせていました。
イップスなど、強気のパットを身上としていた自分には
無縁の話だと思い込んでいたのです。
しかし、よく一緒にラウンドする後輩から
「打つ瞬間、手の動きが止まっていますよ」という一言で、
愕然としました。
世に言う「パターイップス」でした。
症状は悪化の一途をたどり、
2026年4月からの試合では顕著に表れました。
たった1mのパットをショートしたかと思えば、
次は5mもオーバーしてしまう。
自分の体が自分のものではないような恐怖。
それでも私は、イップスだと分かっていながら、
「打ち方や道具を変える恐怖」から逃げていました。
気合と練習量でカバーできる。
ちょっとした修正で上手くいくはずだ。
そう自分をごまかし、
過去の自分のスタイルに固執してもがいていたのです。
練習では上手くいくからこそ、タチが悪かった・・・。
「合っていないよ」という呪いへの固執
長年、私は「ピン型」という、
自分の感覚がダイレクトに伝わるスリムなパターを愛用してきました。
実は数年前、気分転換に「マレット型」という
ヘッドが大きくて重いパターを使ったことがありました。
最初は良かったものの、すぐに入らなくなり、
その時友人に言われた「そのパター、北山の打ち方に合っていないよ」
という言葉が呪縛となっていました。
それ以来、私はマレット型を封印していたのです。
そんな中、
同じくパターイップスで苦しんだ経験を持つ先輩から、
あるアドバイスを受けました。
「感覚をなくして打て!」
先輩が勧めてくれたのは、かなり太いグリップに、
中尺でごついマレット型のパターでした。
「自分の感覚」が最も出にくい、私が一番避けていたタイプの道具です。
打った気もしないし、カップインしても気持ちよくない。
正直かなり悩みましたが、
私はプライドを捨ててそのパターを購入しました。
しかし、当初はやはり打ちにくく……
恐怖に負けた私は、
またすぐに昔の細いピン型のパターに戻してしまったのです。
1mの絶望。そして「間違い」を認めた瞬間
しかし、勝負の世界で「付け焼き刃」や
「過去への逃避」は通用しませんでした。
2026年5月、島根県の金城CCで開催された中国アマチュア選手権。
私はそこで、1mをショートするような無様なパットを何度も繰り返し、
ゴルフを辞めたくなるほどプライドをズタズタにされました。
もう、後がない。どん底に落とされた私は、
そこでようやく開き直りました。
「過去の自分のやり方は、間違っていたんだ」と心底認めることができたのです。
私は再び、マレット型の重たいパターを手にしました。
グリップも最新のものに変え、完全に「自分の感覚」を捨てて
「道具のシステム」に依存することに決めたのです。
それから2試合。
結果は、雲泥の差でした。
暴れていた心もかなり落ち着きを取り戻しています。
ゴルフの絶望が教えてくれた、経営の真理
「1mをショートした無様な姿」と、そこからの生々しい葛藤。
そして「思い込みを外した」ことで見えた一筋の光。
この一連の経験を振り返った時、私は、
これが
中小企業の経営者がぶつかる「組織の壁」と全く同じ構造
であることに気づきました。
-
ピン型パターへの固執(過去の成功体験への依存)
「昔はこのやり方で利益を出してきた」という自負です。
過去に成功したからこそ、手放せません。 -
「合っていないよ」という呪い(変化への恐怖)
新しいシステム(IT化や権限委譲など)を導入しようとした時、
古参社員から「うちの社風には合っていません」と反発された
過去のトラウマに縛られ、変化を恐れてしまう状態です。 -
改革の失敗と後戻り(1mをショートする絶望)
新しいやり方を試したものの、最初は上手くいかず、
恐怖から元の古いやり方に戻してしまう。
しかし時代は変わり、致命的な失敗(業績悪化や離職)を
招いてプライドがへし折られます。 -
感覚を消し、システムに頼る(思い込みを外す)
「俺の背中を見て育て」という社長個人の「感覚」を捨て、
外部コーチの導入や仕組み化に頼る。「自分が打つ」のではなく、
「組織のシステムに打たせる」という境地です。
多くの経営者(特に一代で築き上げたオーナー社長や、プレッシャーと戦う世襲社長)は、
孤独であるがゆえに「自分が間違っていると認めること」を最も恐れています。
挑戦する勇気を失い、
「ダメだと分かっているのに、同じやり方を続けてしまう」。
私自身がそうだったからこそ、その恐怖が痛いほど分かります。
恐怖と向き合う「魂の研鑽」
パターを変えて結果が出始めた今でも、
「いつまた、あのイップスに戻ってしまうか」と、
私は不安で不安で仕方がありません。
だからこそ、今でも毎晩30分以上のパターマットでの練習を欠かしません。
この毎晩の30分は、単なるゴルフの練習ではなく、
逃げずに困難と向き合い続けるための「魂の研鑽」です。
これは、常に倒産の恐怖や競合の脅威に怯えながら、
それでも毎日孤独な決断を下し続けている社長たちの姿と同じではないでしょうか。
経営者は、事あるごとに
「私は間違っていないか?」
「何か手放せない思い込みをしていないか?」
と自問自答を繰り返さなければなりません。
そして時には、過去の成功体験を「アンラーニング(学習棄却)」する
勇気が必要です。
もし今、あなたの組織が「なんだか上手く回らない」
「過去のやり方が通用しなくなってきた」と感じているなら。
もしかするとそれは、組織が「イップス」に陥っているサインかもしれません。
そんな時は、一人で抱え込まず、外部の客観的な視点を取り入れてみてください。
私も現在進行形で恐怖と戦い、自分の間違いを認めながら前に進んでいます。
もし、組織の仕組み化やリーダーのメンタル改革でお悩みであれば、
いつでも壁打ち相手になります。
共に限界を突破し、次のステージへ進みましょう。